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国(教員の海外レポート)

リスボン便り(ポルトガル)

2月なかば,近代のヨーロッパ人による中国語研究に関する共同研究の資料調査で,ポルトガル各地の図書館や資料館を巡って来ました.現在でこそポルトガルはヨーロッパの西の端の一国にすぎませんが,大航海時代から,東洋とも密な往来があり,その図書館や資料館には,中世以来のヨーロッパ人による中国語研究の分野に限って見ても,貴重な資料がたくさん所蔵されています.そして今回の調査でも,リスボンやポルトの各館で幾つもの貴重な資料を閲覧でき,思いがけない収穫がありました.  

リスボン風景

今回訪れた街の中でも,リスボンは「七つの丘の街」と称されるように起伏のある地形で,かつては路面電車やケーブルカーが街の縦横を縫って市民の足として活躍していたとのこと.数年前の万博の折多くの路線が整理されてしまい,随分少なくなってはいますが,現在でも幾つかの路線が市民の足,そして重要な観光資源として大活躍しています.中世以来の幅の狭い路地をゆく人,そして自動車,バイクを横目に駆け抜けるのは実にスリル満点です.また,電車が丘の中腹に差し掛かったときに,目の前の広場越しにテージョ川を眺める景色も絶品です.

私も図書館での調べ物を終えた夕刻,28番の市電で丘を上がり,カルサーダ・デ・サン・ヴィセンテにある食堂で,ポルトガル名物のタコとイワシの料理を楽しみました.写真は店の目の前,市電28番線が停留所の南側急斜面を駆けぬける様子です.

2015年2月
塩山正純

ヘルシンキ便り(フィンランド)

9月の第1週,ローマでの資料調査に向かう途中,フィンランド・ヘルシンキに立寄って,フィンランド国立図書館で幾つかの資料を閲覧して来ました.わずか2日間の滞在でしたが,加納先生のワシントン便りでも紹介されているように,「研究目的で資料を必要としている来館者には常にオープンな姿勢でアシストする」欧米の図書館のホスピタリティを,このフィンランドの図書館訪問でも大いに実感しました.  

ヘルシンキ風景

ヘルシンキは東アジアからの直行便が10時間弱で到着するヨーロッパの玄関口で,空港の入国審査は,ここからさらにヨーロッパ各地に向かう日本や中国など東アジアからの旅行客で賑わっています.  さすが,北欧の代表的な都市にして,ヨーロッパの玄関口の一つだけあって,街の規模こそ小さいながらも,北欧の非常に洗練されて落ち着いた雰囲気が漂っています.写真は,マリメッコなどおしゃれな北欧ブランドのショップも軒を連なるヘルシンキの目抜き通りPohjoisesplanadiの様子です.

2014年9月
塩山正純

ワシントンD.C.便り(アメリカ)

 2014年8月25日から9月6日にかけて,アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.に出張してきました.今回の出張の目的は,主に議会図書館所蔵の,戦時中の在タイ日本人やタイ駐屯日本軍に関する資料を拝見することでした.これらの資料は,米軍によって戦後直後にタイやその周辺から接収されたと思われます.  

議会図書館(ワシントンD.C.)

議会図書館は,その蔵書数の膨大さや規模の大きさはもちろんですが,建築物の美しさ,司書の方々の有能さ・やさしさ等,とてもすばらしい施設で,2週間の出張があっという間に過ぎてしまいました.出張の目的であった資料の閲覧も,これまでその所在がほとんど知られておらず研究にも全く使用されてこなかった日本軍による『泰国兵要地誌』など,当時の日本人から見たタイの状況を物語る多くの史料を拝見することができ,学会誌にも資料紹介をさせていただきました.

写真は,議会図書館の閲覧室です.観光の場合も,閲覧室を上から眺めることが可能です.こんなに美しい図書館,是非覗いてきてください.なお,連邦議会議事堂とは地下道で繋がっていますし,隣は連邦最高裁判所です.どちらも,観光で訪れることも可能です.

2014年8月
加納寛

香港便り(中国)

日本や韓国は春に新年度が始まりますが,世界の多くの国では9月からが新年度です.ちょうど学年末で,あとは試験を残すだけのこの時期には,様々な国際学会でシンポジウムが開催されたりします.そんな訳で,私も5月に2回,研究発表のために香港へ行って来ました.香港は,正式には「中華人民共和国香港特別行政区」と言って中国の一部ですが,長らくイギリスの植民地だったこともあり,所謂「中国」とは異文化な世界である,と言えます.香港の人たちにとっての日常の言語は,中国語の共通語である「プートンホア(普通話)」ではなくて,「広東語」です.ちなみに,上方漫才の中川家礼二さんが「中国語」と称して物まねしているアレはまさしく広東語の特徴をよく捉えていると思います.香港では,大学など学校の授業での使用言語は英語で,それから中国大陸との経済的な結びつきから「プートンホア」も積極的に学ばれています.  

金融センター(香港)

ですから,香港の若者で普通に学校に通っている人たちなら3種類の言語を場面に応じて使い分けて生活しているのです.それが果たして幸福なことなのかどうかはさておき,グローバル化する世の中では,日本の若者も,好むと好まざるとに関わらず,将来このように多言語を操る人たちと共存・競争していかなければなりません.実社会で活躍するためには「英語+アジアの1言語をそれなりに使える」ことが「必須」とされる時代がもうそこまで来ているような気がします.

写真は,2回目の香港で,シンポジウム閉会後の夕刻,上海人のZ先生と出かけた国際金融センター55階にある香港金融局の通貨政策展示室から,香港島のセントラル地区を眺めたものです.最先端と日常生活がごっちゃになったアジアの大都市の地上の喧噪が遠く感じられました.

2013年5月
塩山正純

ロンドン便り(イギリス)

2月末に,京都ノートルダム女子大・関西大・中央大の先生との共同研究の資料調査でイギリスのオックスフォードに行って来ました.ロンドンから電車かバスで1時間ほどの小都市オックスフォードは,数多のcollegeが街並に溶け込んでいて,学問的伝統が身近に感じられる素敵な街です.今回の調査では,主に19世紀に中国語研究で活躍したマーシュマンという宣教師の書簡など貴重な資料を閲覧できたり,思いがけなく大きな収穫がありました.

大英図書館

オックスフォードのあとは,折角の機会を利用して,ロンドンにも1泊してBritish Library(大英図書館)で調べ物をしました.写真はこの大英図書館の正面広場です.大英図書館は,閲覧室を利用するには研究上の然るべき利用目的と非常に厳格な手続きが必要ですが,ロビーまでなら誰でも入れるようで,小学生など地元の子ども達の社会見学のグループもよく見かけます.たしか『地球の歩き方』にも紹介されていたと思います.1階にはショップもあってオリジナルグッズを買うことも出来ます.

もしロンドンに行く機会があったら,一般的な観光名所のほかに,大英図書館に立ち寄ってアカデミックな雰囲気を感じるのも良いかも知れません.ちなみに地下鉄最寄り駅はKing's Cross St.Pancras,下車徒歩2分です.

2013年3月
塩山正純

バンコク便り(タイ)

タイの首都バンコクでは,今年(2012年)の4月,新しい博物館が誕生しました.タイの服飾や染織に興味があったら,絶対に外せない,「王妃様の織物博物館」です.タイの服飾史も研究対象としている私としても,これは行かねば!!ということで,8月に行ってまいりました.

タイの服飾史において,王妃様は非常に大きな役割を果たしてこられました.シルクをはじめとする染織などの伝統工芸品の保存・振興に熱心に取り組まれ,タイ女性用の伝統服飾を制定されたのも王妃様です.ファッション・リーダーとしても有名で,海外の有力誌を含む様々な雑誌の表紙を飾ってこられました.

ローマ風景

そんな王妃様がタイ服飾史と染織・ファッション産業の研究・振興のためにお建てになったのが,この博物館.博物館の内部には,王妃様が実際にお召しになったドレスをはじめ,タイの伝統服飾や染織産業に関する資料が数多く展示されています.

博物館では,実際にタイの服飾を体験するコーナーも設けられていました.係の人が,あなたを美しく着飾らせてくれます.布製品を中心としたミュージアム・ショップも充実していますよ.

 場所は,バンコクの王宮内,出口付近(王宮北側の観光客用の門を入って右手)で,王宮の入場券で見学することができます(博物館だけの見学も可能です).開館時間は毎日9時から16時30分まで.タイに行かれたら,是非寄ってみてください.

2012年9月
加納寛

パリ便り(フランス)

ローマ風景

ローマへの出張の行き帰り,乗換えのためにパリに立寄りました.フランスも中国研究が最も盛んな国の一つで,パリの中心オペラ座界隈,リシュリューにある国立図書館旧館などは近世・近代の中国語の手稿本や木版本など,重要な資料を数多く所蔵していて,私も何度か訪れています.

さて,今回パリに寄ったのにはもう一つ,国際コミュニケーション学部7期生のK君に会うという目的がありました.K君は在学中からパンに惚れ込み,卒業後すぐに渡仏.

パリ生活もかれこれ5年.現在はレピュブリック広場から歩いて5分,サンマルタン運河近くのとあるパン屋で修行中です.知る人ぞ知る名店で,地元のパリっ子からグルメ雑誌片手の観光客までお客が途切れません.えっ,味ですか.それはもうお世辞抜きで「今まで食べた中でダントツに美味しかった」と申し上げておきましょう.写真を手がかりに,パン屋目指してパリの街歩きはいかがでしょうか.

2012年10月
塩山正純

ローマ便り(イタリア)

9月のはじめ,ローマを訪れ,大学院生を中心とする若手研究者の国際シンポジウム「近代文化交渉和語言接触」(Cultural Interaction and Language Contact)に参加しました.私の主な研究対象は近代西洋人の中国語研究文献ですが,ローマはさすがローマ法王のお膝元,バチカン図書館やイタリア国立図書館,それから市内各所のカトリック教会関係の図書館などに貴重な資料が所蔵されています.そんな土地柄,歴史もあって,シンポジウムがあったローマ大学東方学院も多くの優秀な若手研究者が在籍しており,中国語研究がかなり盛んで,今回のシンポジウムでも,日本人・中国人・イタリア人の間で大いに討論も盛り上がりました.

ローマ風景

 写真は,ローマで一番賑やかな広場であるナヴォーナ広場の北側にある路地を撮った一枚.NHKの"世界ふれあい街歩き"にも出てきそうな風情ある路地で,私の好きなローマの風景の一つです.このまま路地をしばらく真っすぐ歩いて左に折れたところに隠れ家的なジェラート屋さんがあって,ここのがまた美味しいんです.

2012年10月
塩山正純

タラゴナ便り(スペイン)

タラゴナ風景

 研究集会が開かれたバルセロナから電車で1時間程度のところにある街・タラゴナに遠足に行ってきました.英語が通じず切符を買うのも一苦労だったのですが,海沿いを走る車窓から地中海を眺めながらの電車の旅はとても気分が良かったです.到着したタラゴナの駅は何気ない普通の田舎町の駅という趣き.駅を出て右手の丘に向かって海沿いの道を上っていくこと10分程度,忽然と眼前にローマの遺跡が現れました.(恥ずかしながら,世界遺産であることを知ったのはタラゴナに着いた後です.)

写真ではまったく伝わらないのですが,海を背に朽ち果てた円形闘技場がある景色は,在りし日の重厚さを容易に肌で感じ取ることができるほどスケールが大きく,時間を一気に飛び越す力を感じました.幸運にも,たまたま,この日は「タラゴナホリディ」とのことでお金を払うことなく,色んな遺跡や建物を散策することができました.

タラゴナ風景2

街のそこかしこにあるローマの遺構の中に,中世の大聖堂や現代のホテル・レストランが混在しているのですが,不思議な一体感がある街並みは,どこを歩いてもまったく飽きることがありません.また,カタルーニャの人々は人生の楽しみ方を本当に良くご存知なのか,みんな大らかで陽気な雰囲気が漂います.綺麗な青空の下,市庁舎の前のオープンテラスで昼食を取ったり,歩き疲れてコーヒーを飲んだりしている時も,その楽しげな空気が自然と伝わってきてとても明るい気持ちにさせられます.

その余韻が残ったまま,夕方には帰りの電車に乗り込みました.

2012年5月
梅垣敦紀

マニラ便り(フィリピン)

フィリピン風景

 新名古屋校舎への引越で研究室が使えなくなり,居場所がなくなった1週間,マニラに行ってきました.専門にしているタイに比べると書店やインターネットで獲得できる情報量が圧倒的に少なかったので心配が少しありましたが(初マニラでした),実際に行ってみると幸運にもスラスラと事が運び,フィリピンの方々の明るさにも大いに助けられ,楽しく充実した日々を送ることができました.タイと同じ東南アジアであるということが皮膚感覚で実感できた貴重な体験でした.

上の写真はタール火山上の火口湖です.後ろに見えるのもカルデラ湖(二重カルデラ構造になっている!!)マニラからバスで2時間で外輪山上の町タガイタイに着きます.そこからジープニーで20分ほどでカルデラ湖のほとりの町タリサイに着きます.お舟に乗ってカルデラ湖を渡り,火山島を30分程度登るとこの景色です.ここを訪問する前に,火山を専門とする経営学部の古川先生に,この火山がどの程度危険なのかをメールでチョチョチョイと聞いておいた上で訪問しました.いろいろな分野の世界レベルの専門家が勤務している大学という場に所属していることのありがたさを大いに感じました.

フィリピン風景2

左の写真はマラカニャン宮殿の中の様子です. フィリピンの大統領官邸です.事前に申込が必要です.大統領さんのご都合で時間変更になっていたのを知らずに行ってしまい(メールがうまく受信できなかった),門で止められたときにはどうしようかと思いました.官邸の担当の方も,一緒に官邸を見学したフィリピン人の方々もとても親切でフレンドリーでした.

2012年4月
加納寛

上海便り(中国)

上海風景

「漢字文化圏近代語研究会」の国際シンポジウムに参加するため,学生時分の旅行以来,10数年ぶりに中国の杭州を訪れました.この学会は日本なら明治維新の時期,中国・朝鮮半島・日本といった漢字文化圏の国々が欧米の先進文化をどのように「ことば」に取入れていったか,をテーマにしています.

学会と杭州はさておき,写真は乗換えで立ち寄った上海での一コマ. 誰でも(?)見覚えのあるリンゴのマーク.そう,アップルストアです.

同じくアップルユーザの研究仲間と連れだって,上海に3軒あるうち,一番の繁華街,南京東路の店を訪ねてみました.

上海は街ゆく人の数も日本とは比べものになりませんが,ストアも人で溢れかえり,熱気で息苦しくなるほど.アップル製品は基本的に世界共通価格で,中国の一般的な収入からすると,かなり高い買い物のはずですが,写真からも分かるようにストアはかなりの大にぎわい.中国での関心もかなり高いことが窺えました.

さすがに店内を写すのは憚られたので,中の熱気がどんなものか,気になる方は是非一度出かけてみては如何でしょうか.

2012年3月
塩山正純

ドバイ便り(アラブ首長国連邦)

ドバイ風景

2012年2月10日(金),現地時間で5時45分,ドバイ国際空港に到着.

見慣れた人が機内まで出迎えてくれた.昨年愛大でセミナーを一コマやっていただいた,あのSaeed Ahamed氏だ.彼の肩書はCatering Directer of Emirates Airlinesで,偉い人だ.

仮眠をとるため,いったんホテルへ.後は,8年間現地で勤務している娘に案内してもらうことにした.話は尽きないのだが,3つくらいに絞ってみる.

先ず1つ.タクシーの運転手の英語を聞くのも楽しい.ドバイでは,タクシーの運転手は普通,インド人かパキスタン人.南インドの方から来たという運転手は,明るくて,いろいろしゃべってくれる.日本の地震のことを話して,心配してくれた.ところが,earthquakeという言葉がどうしても聞き取れない.“アーコック”のように聞こえる.8年間暮らしてきた娘にはそれが分かるのだ.“地震”だと教えてくれたので,[アースクエク]だろうと教えたつもりだったのだが,依然と“アーコック”と言う.まいった.

ほかのタクシーに乗った時のこと.今度はパキスタン人の運転手だ.巨大な水族館がるがあるショッピング・モールの話になった.運転手曰く“アクリアン”だという.黙ってればいいものを,つい英語の教員の癖が出てしまい“アクエアリアム”と言ったのだが無駄な努力であった.おまけに,運転士氏は“ヴェリ アクリアン”と,強調した.文法的には,“ビグ”か何か形容詞を入れないとね,という気にもなれない.日本の英語教師,ドバイの運転手に敗北という見出しで,新聞に載ることもないだろう.

2つ目は,本屋さんの話である.とある巨大ショッピング・モールに,紀伊国屋さんが入っている.ワン・フロアーであるが,とにかく広い.中には喫茶店もあって,立ち読みに疲れたらのどを潤すことができるようになっている.私が気に入ったのは,抹茶のかき氷である. 十冊ほど本を買ったのだが,そのうち2冊を紹介しておこう.一冊目は,Aqil Kazim著,“The United Arab Emirates: A.D. 600 to the Present”で,もう一冊は,Jean-Pierre Filiu著,“The Arab Revolution: Ten Lessons from the Democratic Uprising”である.

ドバイ風景2

3つ目は,スパイスである.香辛料を売る店がずうっと並んでいる一画がある.スパイス・スークと呼ばれているところだ.スークは,英語でsoukあるいは,sukと書くこともある.本来はアラビア語で青空市場のこと.以前から関心を持っていたのは,乳香である.気に入らない人を煙にまこうという魂胆からではない.もっとまじめな,かなり真面目な理由からなのです.とにかく,白いのと,黄色いのと一瓶ずつ手に入れた.白いのはオマーン産で,黄色いのはイエメン産だという.

以上で,私の話は終わりです.お疲れ様.

2012年3月
田本健一

ケンブリッジ便り(イギリス)

ケンブリッジ風景

前期入試も一段落してほっとひと息ついた二月なかば.イギリスはケンブリッジ大学の図書館へ資料調査に行ってきました.

私の研究分野は中国語ですが,実はヨーロッパは近代中国語研究の資料の宝庫で,時間をみつけてはこうしてヨーロッパ各地に出かけています.

ケンブリッジは数百年の歴史をもつ大学都市で,旧市街は街全体がまるで荘重で美しい美術館さながらです.一日の調べものを終えた夕刻の街歩きも楽しみの一つでした.

2012年2月
塩山正純